さえの音響・音楽教室

音響・音楽系の話やボイスチェンジャーの情報まとめてくよ!

ボイスチェンジャーを使いこなすための37ヵ条

f:id:saeokuri:20200105175957p:plain おはよう!!! ( ᐢ˙꒳​˙ᐢ ) 小栗さえだよ~~~!!

ボイチェンアドベントカレンダー25日目! 最終日! さいごにふさわしい記事っぽく総集編というか、今までで話してきた大事なことのまとめをやりたいと思います!

adventar.org

ここを抑えて頑張ればきっとあなたも素敵な声に!順番はどれでもいいいので、できるものから試してみましょう!

ボイチェンユーザー以外にも両声類の方、VTuber、声を使った活動をする人に役立つ情報をたくさん書いたよ!

1. コミュニティに混ざろう

独学や一人でやり続けるよりは、関連するコミュニティに混ざった方が情報量やヒントが多く手に入りますしモチベーションも続きます!
ボイチェンユーザーであればボイチェン民のディスコード鯖だったり、VRChatやバ美肉VTuber勢に混ざるなど仲間が多くいそうな場所に積極的に参加してみましょう!

一緒に取り組める人がいたり、身近な人の活動が見れると意欲もわいてくるのでお勧めです!

2. お師匠さまや友達を作ろう

客観的に評価されたいのであれば、しっかりとしたフィードバックを得る必要があります。 遠慮や嘘偽りのないフィードバックを得るためにも、親しい友人や師匠を作れるとGood!

また作品を作り投稿することで、ユーザーコメントなどのフィードバックをもらうこともできます。 コミュニティ外の人(聞き慣れてない人)からの厳しい意見もあるのでメンタルに注意!

3. モデル(外見)を決めよう

ボイチェン後のイメージを深めるために、自分のモデルを用意しましょう!一枚絵でもいいですし、Live2Dや3Dモデルでも良いです。
ルックスやデザインは理想の姿でももちろん良いですが、自分の声にマッチしたキャラクターになっている方が入りやすいです。

まずはVカツやカスタムキャストなど、無料で簡単にキャラクターモデリングができるツールを使ってみましょう!

4. 設定を作り込もう

キャラクターができたらしっかりと設定も作り込みましょう!

基本的なプロフィール情報から、生い立ちなどの経歴面まで、細かければ細かいほど移入しやすくなります。 マーケティングで言うプロファイリングに近い作業になります。矛盾が生じないように注意!

5. 日常に溶かし込もう

細かい設定まで作り込んだキャラクターが作れたら、そのキャラクターの目線で日常を体験してみましょう。
身の回りで起こる色々な事象や会話について、そのキャラクターならどう思うか、どう行動するか、どう喋るかを考えてみます。

ボイチェン時だけなりきるのではなく、日常的にイメトレしておくことで自然な振る舞いをすることができます!

6. 恥を捨ててなりきろう

役になりきる時の最大の敵は恥ですが、役になり切れてない方が恥ずかしかったりもします。

慣れと自信によって恥は薄れていくので、とにかくトレーニングを続けて自信をつけていきましょう! ロールプレイを受け入れてくれるコミュニティやフィールドで活動するのも大事です。慣れてない人に見せたら引かれるのはある意味当然……。

7. 女の子(目標)を研究しよう

自分の頭の中の理想像だけだとどうしても偏りがちになってしまうので、理想に近い声優さんや配信者を研究して、イメージを固めたり、どのような特徴があるのかを調べてしましょう!

役者としての演じ方や恋愛テクニックとしての振る舞いなど、女性(異性)らしさについてはネットにもたくさん情報が落ちているので、そちらも参考にしていきましょう!

8. 感情豊かになろう

一般的に男性より女性の方が感情表現、リアクションが大きいとされています。 とっさの反応で女性らしく振舞えるとより魅力的に見えますし、反射的に男性的なリアクションをしてしまうと勿体ないです。

リアクションを鍛えるならいろいろな場面展開があるゲーム配信がぴったりです。 ボイスチャットを入れて流行りのゲームをやるとよい練習になると思います!

9. マイク越しでも表情を作ろう

表情によって口腔内の形も変わるため、表情と声色は連動しやすくあります。

コールセンターなどでも、実際に明るい声を出せるように電話越しでも笑顔で会話するというコツなどがあったりします。 実際に顔を見せる必要はないですが、感情を込めたいときはしっかりと表情も意識してみましょう!

10. 他人と積極的にしゃべろう

一人でアフレコの練習をするのもよいですが、他人との会話も非常によい訓練になります。おススメはゲームのボイスチャットを使うことです。 最初は恥ずかしいと思いますが、台本のないアドリブ的な会話も自然できるように訓練していきましょう!

慣れてきたら初対面の人とも喋れるようになるとGood!バレないことを目標にしましょう!

11. 女の子(異性)としゃべろう

慣れてきたら異性との会話にもチャレンジしてみましょう!対男性とは全く違う刺激や発見、難しさが見つかると思います。
ボイチェンや女声であることは明かしても明かさなくてもよいです。女性同士の会話になるように頑張ってみましょう!

12. コンデンサマイクを使おう

ダイナミックマイクはライブ用に強度に振ったマイクなので、自宅用のマイクは基本的にコンデンサマイク一択です。
指向性があるマイクの方が環境ノイズに強いので、防音に自信がなければ指向性のマイクを買いましょう。

ファンタム電源が必要だったり、衝撃や湿気に弱かったりするので注意!ポップノイズ(息の音)が気になる場合はポップガードをつけましょう。

13. オーディオインターフェースを使おう

ソフトウェアでボイチェンする場合、オーディオインターフェースを導入することで音質やレイテンシ(遅延)は劇的に変わります。 安いオーディオインターフェースとUSBマイクだとあまり違いがないので、買うなら1万円以上でASIOドライバに対応しているものを買いましょう。

オーディオバッファサイズを小さくすることで遅延を少なくできます。

14. 良いPCを買おう

CPUが強いとオーディオバッファサイズを小さくできるので、遅延対策になります。 ボイチェンはCPU負荷の高い処理なので、配信やゲームなどを行う際はそれなりに強いPCを購入しましょう。

変換後の音声がスピーカー出力となる場合は通話などで入力ソースに指定できないので、VoiceMeeterなどの仮想ミキサーを使って音声ルーティングという処理が必要になってきたりします。

15. 遅延を少なくしよう

ソフトウェアボイチェンをする場合、遅延は避けられない問題になってきます。

上記のオーディオインターフェースやオーディオバッファサイズの設定以外にも、無線マイクの遅延やボイスチェンジャー自体による遅延などがあるので、できるだけストレスの無い遅延に収まるよう低遅延を追求していきましょう。

16. ノイズを小さくしよう

声に対してノイズのボリューム(S/N比)が大きいと、ボイチェンのピッチ推定(基音周波数の特定)がうまくいかず、ガビりの原因になります。

ノイズを小さくするためには、安物のマイクを使わない、マイクを単一指向型にする(環境ノイズの低減)、オーディオインターフェースを使う(インターフェース部分のノイズ改善)、給電ノイズを改善する(USB給電をやめるとか)、劣化したケーブルを使わない、シールドケーブルやバランスケーブルを使うなどがあります。

17. しっかり喋れるように防音しよう

防音されていない部屋で満足に声量を出せない状態でしゃべっていると豊かな感情表現がしにくく、上記の通りノイズの影響も大きくなってしまいます。

家族の方と同居している場合はドアの防音が意外と効果が高く、一人暮らしであれば防音性能の高い物件に引っ越すのはコスパの良い選択です。 部屋がある程度広ければレンタル防音室なども検討してみると良いでしょう!

18. ハウリングに気を付けよう

マイクの感度が高いとヘッドフォンやスピーカーからの音を拾ってしまい、多重にエフェクトがかかってしまったり、通話時に相手の声を拾ってしまう(しかも意図しないボイチェンがかかって不快など)などの問題が起こります。
マイクに近づき過ぎない、密閉型のヘッドフォンを使う、カナル型のイヤホンを使うなどの回避策があります。

19. 声の原理を知ろう

声は声帯の振動によって作られた咽頭音源が声道や口腔、鼻腔などの共鳴腔で共鳴することで形作られます。 声は様々な骨、筋肉、腱、粘膜の連動によって成り立っていて、声の出し方によっても各組織の動きは大きく異なってきます。

喋り声は倍音で作られていて、ピッチやフォルマントという概念があり、母音の特徴づけや性差にも関係してきます。

喉の作りや声のしくみを知っていると、間違った知識やトレーニングなどで喉を傷めることが減ったり、ボイチェンが上手くいかないときの原因究明に役立ちます! また誰かにアドバイスしたり、ボイチェンについて喋る時もフワっとした表現でなく、理論的に説明できることで説得力が増します。

20. 声の性差を知ろう

声変わり前から男女ではフォルマント差があり、声変わりによって男性の声道が伸びることによってピッチの性差も現れてきます。 基本的には声道の長さと広さという共鳴腔の違いによって性差が生まれます。また女性的な喋り方と男性的な喋り方による性差も大きく影響します。

声の性差についての知識は、ボイスチェンジャーの仕組みを知る上でも必要になってきます。 女声のトレーニングも、どの機能や筋肉を鍛えて女性に近づけているのかがわかると不安も少なく効率的に進めることができます。

21. 音や音声信号を知ろう

音は空気振動により形成され、マイクは空気振動を電気信号に変え、オーディオインターフェースが電気信号を音声信号に変換(A/D変換、D/A変換)します。 ピッチ(音高)を持つ音には基本周波数があり、また各整数次倍音(フォルマント)の比率や非整数次倍音の量により音色が特徴付けられます。

音とは何か、音声信号の原理を知っておくとボイスチェンジャーが何をしてるのかわかります。 ボイスチェンジャーだけでなく、他のエフェクターの仕組みを知る上でも役立つので知っておくと便利です!

22. ボイチェンのしくみを知ろう

ボイスチェンジャーはピッチシフト・フォルマントシフトの組み合わせで実現されます。 ピッチシフトやフォルマントシフトを行う方法としてSOLA方式やリサンプリング、フェーズヴォコーダによるタイムストレッチなどがあります。

アルゴリズムにもよりますが、音質と遅延には逆相関があります。 SOLAによる基音周波数の推定がうまくできないとがびりやケロりが発生し、非整数次倍音の不要な変調がボイチェンぽさの原因に大きく影響します。

23. 自分の声を理解しよう

自分の元の声や、ボイチェン後の声を正しく理解するのは大切です!

ボイチェン(ピッチシフト、フォルマントシフト)は狙った声質を手に入れられるものではなく、元の声質に大きく左右されます。(アニメ声っぽくなる人もいれば大人っぽい清楚な声質になる人もいる) 必ずしも理想の声が出せるわけではないので、自身の個性として受け入れ、自分の声に合ったキャラクター付けなどをしていく必要があります。

24. ボイチェン用の声を作ろう

地声をそのままボイチェンかけても女性らしい声は出ません。

男女の地声のピッチ差は1オクターブから半オクターブほどあり、フォルマント変化率は20%~30%ほどあります。 つまり女性らしい声(音域、フォルマント)にするには『意識して高くした地声+ボイチェンの効果』で上記の差を埋めなければなりません。

ボイチェンに頼り切ると加工感が増してしまう(訓練で加工感を減らすことも可能)ので、ある程度は自力でピッチやフォルマントを稼いだ方が自然な声に聞こえます。 両声類に近い方がボイチェンも有利ということですね。

25. 元の声をシャットアウトしよう

元の声が聞こえてしまうとボイチェンの遅延が目立って喋りにくくなりますし、元の声だけ聞いて喋るのは表現力の観点でもオススメしません。

骨伝導があるためゼロにはできませんが、返しのボリュームを大きくしたり、密閉型ヘッドフォンを使ったり、ノイズキャンセリング機能を使うなどして元の声をシャットアウトすると格段に喋りやすく、ボイチェン後のキャラクター(人格)に入り込めるようになります。

26. 声の種類(声区)を変えてみよう

声の出し方には種類があり、声楽的には声区と呼ばれます。

胸を使ったチェストボイス、裏声を混ぜたミックスボイス、声帯閉鎖を使ったエッジボイス、息漏れ量を多くしたウィスパーボイスなどがあります。 低音部の非整数次倍音が少ないミックスボイスやウィスパーボイスはガビりにくくボイチェンに向いています。

どれが女性らしいという区別はありませんので、自分の好きな声区を選んでトレーニングしてみると理想の声に近づけるかと思います。

27. 声を分析しよう

自分の声を音声信号として分析してみると自分の声を客観的に捉えることができ、改善の手助けになります。 理想とする女性の声と比べて(BGMのないトーク動画などをサンプルにするとよいです)どの部分が異なっているか、ピッチやフォルマントは足りているのかなど、データ的に分析してみましょう!

音声スペクトル/スペクトラム(周波数ごとの波の強さ)、ケプストラム(スペクトルをフーリエ変換したもの)、スペクトログラム(スペクトルに時間軸を足したもの)などの解析方法があります。

28. いろいろなボイスチェンジャーを試そう

ボイスチェンジャーの種類はいろいろあり、実装アルゴリズムやターゲットの音域、レイテンシの差など色々な違いがあります。

一般に相性と言われるのは周波数スケーリングやタイムストレッチの実装アルゴリズムによる違いになるかと思います。 無料で高品質なものもたくさんあるので、導入しやすいものから順に試していきましょう。

29. ボイチェン以外のエフェクターも使おう

ボイスチェンジャー以外にも、通話・配信に有用なエフェクターはたくさんあります。

通常会話に使えるエフェクターとして

  • 発声(アタック)を明瞭にしてくれるコンプレッサー(Transient Shaper)
  • 音質を調整してくれるイコライザー
  • ノイズ帯の音域をカットしてくれるローパス・ハイパスフィルター
  • 定常ノイズをカットしてくれるノイズサブトラクション
  • 無発声時のノイズをカットするノイズゲート
  • 音割れ防止になるリミッター
  • 音の倍音成分だけを強調してくれるエンハンサー
  • 耳障りな歯擦音を抑制するディエッサー
  • 個室の反響音を演出するリバーブ(Convolution Reverb)

などがあります。

30. 録音して聞いてみよう

声に関わる職業やボイトレでは鉄板!自分の声は必ず録音して聞き直しましょう!

喋りながら感じている自分の声は、骨伝導や全身共鳴、脳内補完などでフィードバックに補正がかかっています。 改めて聞き直すと意外と抑揚が出せてなかったり、間のおき方や声のトーンがイマイチだったりというのは割とあります。

自分の声を聞き直したり配信を見直すことは恥ずかしいものですが、慣れれば聞きなおさない方が恥ずかしく感じるようになります。 自己満足から抜け出す大きな一歩になるので、勇気を持って聞いてみましょう!

31. 録音は大事に取っておこう

成長記録をつけることは未来の自信につながります。 過去の記録は再現することができないので、消さないように大事に取っておきましょう。

思わぬネタに繋がることも。

32. ボイチェンをかけた異性の声を真似てみよう

ボイチェンならではのトレーニング方法として、理想とする声にボイチェンをかけてそれを真似るという手法があります。

レーニングサンプルを用意するのが少し面倒なので、昔ニコニコ動画で流行った「ピッチ変更で〇〇似」というタグを参考にしてみるのもよいかもしれません。 明瞭なゴール(目標)があるため、闇雲なボイトレよりも不安感の少ないトレーニングができます。聞いたことない人は是非聞いてみましょう!

33. ボイトレしよう

ボイトレには「喉を自由にコントロールできるようにする」「喉の持久力や回復力を上げる」「喉の筋肉や組織の柔軟性、強度を上げる」という狙いがあります。

両声類に近いほどボイチェンも自然にかかると言った通り、両声類向けのトレーニングが効果的です。 他にも歌うためのボイトレや、役者・声優向けのボイトレも無駄にはなりません。

聞き手が心地よくなる話し方を目指して、日々トレーニングを重ねていきましょう!

34. 喋る習慣をつけよう

習慣化は集中的なトレーニングに勝ります。 特に日常会話など自然体が大切な場面で目に見える違いが出るはずです。

暇な時はボイチェンをつけて誰かと通話してるというぐらいに習慣化できると一気にレベルが上がるので、通話の多いDiscordサーバーを探したり、定期配信をしたり、常に配信している体で喋るなど、習慣化する取り組みを試してみるとよいです!

35. 無理はやめよう

喉は使えば使うほど一時的に磨耗しますし、男性の高音は継続的なトレーニングによって筋収縮力を高めないといくら頑張っても出ません。 無理をすれば回復に時間がかかりますし、一時的な酷使よりも継続的なトレーニングの方が効果は高いです。

下手をすると声帯ポリープや声帯結節など、手術が必要な事態になってしまうので無理は禁物です。

36. 喉のケアをしよう

喉を使う仕事での水分補給には、常温の水やぬるま湯が使われます。

喉を使う大事な用事がある前は以下の食品、飲料の摂取は控えましょう。

  • げっぷの出やすくなる炭酸飲料
  • 喉の炎症を生む香辛料や柑橘系などの刺激物
  • 喉の乾燥を促進するカフェイン類やアルコール類
  • 喉の油分を分解してしまうお茶類
  • 喉にからまる乳製品や粘性の強いもの
  • 喉をコントロールしにくくなる熱すぎるものや冷たすぎるもの
  • 喉に様々な負荷のかかるタバコ

またボイトレをした後や長くボイチェンを使った後は、喉の回復を高めるためにのど飴のなめたり、水分補給をするなど喉ケアをしてあげましょう! 筋組織の再生・強化にはアミノ酸が必要なので、お肉や魚、卵などタンパク質を摂るのも大事です。

37. 継続は力なり

良い声や可愛い声になるための特効薬はなく、一朝一夕では実現しません。

両声類の方などは7年〜10年の歳月をかけて女声を会得したという話もよく聞きますので、さっと試した程度ではセンスの有無なんてわからないです! 今の声が理想から遠くても、めげずに地道なトレーニングを続けていきましょう!

おわりに

偉そうなこといっぱい書いちゃってるけど、私もまだまだできてないことが多いです!
ここに書いてない大事なことや間違ってることあったらぜひぜひコメントください。

ぼいちぇますたーへの道は険しく一人で極めるのも難しいので、一緒にかわいくなりましょう (◦ˉ ˘ ˉ◦)

それでは!

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